堅川SLAPP訴訟弁護団 「最終弁論」

平成27年(ワ)第4562号 損害賠償請求事件
原  告  地方公務員災害保証基金
被  告  園良太

準備書面

2016年1月26日

被告訴訟代理人 弁護士 大口 昭彦
同  川村 理

東京地方裁判所民事第49部 御 中

第1 K供述は信用できない
本件において、原告は、もっぱら江東区役所職員K(以下、「K」という)の供述を根拠として、被告がKの首を両手で絞め、結果、Kは頸椎捻挫の負傷をしたという。
しかしながら、以下に見るとおり、Kの供述には何らの信用性もなく、原告の請求は棄却されるべきである。
1 提訴後の供述自体が変遷している
原告は、平成27年4月9日付の訴状に変わる準備書面において、「被告に前方から両手で首を絞められた」と主張していた。甲第3号証及び甲第15号証もかかる主張に沿ったものである。
その後、原告は、平成27年8月5日付の証拠説明書においては、甲13の立証趣旨として、「Kが被告に首を掴まれ」などと表現を微妙に変更している。
さらに平成27年8月25日付のKの陳述書(甲14)においては、「のどわ」のような形で首を絞められましたと、さらに新たな表現を行うようになった。
平成27年11月12日、原告訴訟代理人はK立ち会いの下に現場再現を行ったが、そこで再現された状況は、腕の伸び具合や両手親指の位置関係、Kの手の位置等に関し、甲第15号証で示された状況とは大きく異なっている。
このように、Kの供述やそれに基づく原告の主張は、本件提訴後だけでも二転三転しているのであって、とうてい信用しがたいものというべきである。
2 Kの捜査段階の供述の不自然
次に、被告の刑事事件に関するKの捜査段階の供述(乙第14号証)には、「両手で首を絞められた」も「頸椎捻挫」の記述も一切なく、Kの本件訴訟における供述に重大な疑義を示すものというべきである。
すなわち、乙第14号証においては、「両手で首を絞められた」なる供述は全く存在せず、3頁において、「私の首付近を手で押すようにしてきました」という供述があるのみである。また、同書証最後の処罰感情の欄を見ても、「両手で首を絞められた」点には触れず、もっぱら「区役所で暴れたあげく」「ガラス壁を蹴破ったことをしでかした」などというのみである。Kが真に「両手で首を絞められ」「頸椎捻挫」を生じたのであれば、まずこの点を指摘するのが通常であるところ、かかる点に言及しないことは不合理であり、かつ、Kは、証人尋問の際、かかる不自然生を追求されても合理的な弁明を一切行わなかった。
なお、付近で現場にいたというK.Nの供述調書(乙第15号証)を見ても、「両手で首を絞められた」という指摘はなく、「Kさんの首を手でつかんだりしていました」という記述しか見当たらない。
3 動画上も被告が両手で首を絞めた場面は認められない
原告が指摘する再生時間23分33秒を見れば、確かに被告の左手が伸びた状況は認められるものの、原告が立証趣旨で指摘するように「首を掴まれ」とまで認めることは出来ない。
4 以上によれば、被告がKの首を両手で絞めたなどという原告の主張は全く事実無根であり、本件請求は棄却されるべきである。

第2 江東区職員の暴力こそが問題とされるべきである
1 本件の背景事情は、乙第1号証ないし8号証のとおりであり、かつ、U証人が本法廷で証言したとおりである。
本件に先立つ1月27日、江東区は竪川河川敷公園の野宿者排除のためにその住居周辺にフェンスを設置しようとしたのであるが、その際、江東区職員らは、現場で抗議をしていた支援者らに肘鉄やけり、旨に馬乗りになる等の暴行を加えている。
また、2月8日の代執行当日にも同様の暴力が行われている。
2月9日の事件当日においても、水辺と緑の課のカウンター前で抗議をしていた被告に対し、江東区職員が実力を持って排除したことは明らかである。
2 ところで、被告が参考資料として提出した東京高等裁判所平成27年(ネ)第2104号損害賠償請求事件の判決は、渋谷区の職員らが抗議をしていた支援者らをその意思に反して実力で排除した事案に対し、違法の評価を行い、支援者側の勝訴が確定している。
すなわち、本件で江東区職員らが行ったのと同種の行為に関し、違法との評価を加え、損害賠償義務を認定したのである。
してみれば本件は、そもそも江東区の方こそ、自らのなした実力排除の違法性を問われるべき事案だったのであり、本件に先立つ刑事裁判において全く問題とされなかった被告の行為の違法性が問われるような筋合いの問題ではないのである。
3 よって、いずれにしても、原告の請求は棄却されるべきである。

以上

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